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人格障害という診断のあやしさ
2008年1月5日 仮福真琴 筆
まだ33才の頃、公立のM病院に通い始めたばかりの頃である。
外来は、いつも通り混んでいた。私の隣に同年代と思われるメガネをかけてジーンズのスカートにチェックのシャツを着ているごく普通の主婦かと思われる女性が座っていた。
私から、話しかけた。いかにも、真面目そうな感じだった。
女性だったことと、同じくらいの小さな子供もいるだろうと話しやすかったのだろう。
「どちらが悪くて、いらっしゃったのですか?」
「はい、子供が1才と3才なんですが、毎日イライラして、つい、子供に当たっちゃうんですよ。手を上げてしまうんで。」
私は、どのくらいの頻度で手を上げているかわからないし、尋ねなかったが、子育て中は、まあ誰でも良くあることである。
が、当時は、私もかなりそれを悩んでいた。
それで、「私も、子供が3才と7才なもので、年中ですよ。後で、反省して自分を責めるんでしょう?」
その女性。「ええ、そうです。それで主人や姑が病院へ行け行けと、言うんですよ。」
私。「ああ、で、医者は何て言いました?」
「まあ、人格障害かなって、言うんですよ。」
あと、子育ての話や世間話をした。女性は、確か30才と言ったと思う。
私と良く似たタイプの真面目そうな方だと思って声をかけてみたのだが。
その日以来、その主婦と外来で2度と会うことはなかった。
その時、私は思った。薬物治療の恐ろしさをまだ知らなかったので、分析をされなければいいがナと、心配した。
考えてみれば、真面目な主婦だ。
「主人や姑が病院へ行け行けと、言う」と、そして、ちゃんと自分で行くのだから。
本当に、人格障害(これは、差別用語で、こんな疾患あるが、わからないが。人格が、大きく普通平均値より偏っている意味だろうが。)そういう人なら行けと言われて、素直にいくだろうか?
子供に手を上げて反省するだろうか?
世間には、実にいろんな人がいて、自分の子供を殺してしまう母親も時々いるが、その人には、それだけの背景があったのだろう。
犯罪を犯したから、その人の全てが異常とは思わない。
そして、その方のご主人、「病院に、行け行け」とは、自分が逃げている。
人格障害という、診断のあやしさ。
時々、あの時のメガネをかけた真面目そうな主婦は、どうなったかナと思い出す。
どうか、精神病院につながっていない事を願う。
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